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2025.07.25
ブログ
AIコンシェルジュ
コールセンターDXガイド
あらゆる業界の「声」の課題に、AIが応える。
新連載【コールセンターDXシリーズ】が始まります。
第4弾は、デジタル化の波と顧客ニーズの多様化が急速に進む「金融業界」。顧客との重要な接点である電話業務においては、これまで以上に高度な顧客対応が求められています。サービスレベルや顧客満足度を維持しつつ、どうやって効率化を実現するのか、ボイスボットがもたらす変革の最前線に迫ります。
今後も様々な業界を特集する予定です。
貴社の課題解決のヒントが、きっと見つかります。
金融業界の弊社事例:
■リコーリース株式会社:リース物件の引き揚げ・返却受付などのお問い合わせ自動対応
■カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社:7,000万会員の利用満足度向上に貢献
■大阪ガスファイナンス株式会社:クレジット・リース申し込んだ顧客への自動架電
■AGペイメントサービス株式会社:ショッピングクレジット契約申し込み後の内容確認
現代の金融業界において、顧客との接点は多岐にわたりますが、電話は依然として重要なコミュニケーションチャネルです。しかし、この電話対応業務は、業界特有の複雑な課題を抱えています。多様な金融サービスを提供する企業では、顧客からの問い合わせ内容の専門性、情報の厳格な取り扱い、そして迅速な対応が常に求められます。さらに、事業の特性から、一般的な業界とは異なる、より複雑でデリケートな電話業務の課題を抱えています。これらの課題は、単なる業務効率の問題に留まらず、顧客満足度、コンプライアンス、ひいては企業のブランドイメージに直結するため、抜本的な解決策が求められています。
金融商品は、その特性上、金融商品取引法をはじめとする法的規制と業界ガイドラインにて厳しく縛られています。顧客への情報提供は、誤解を招かないよう極めて正確かつ網羅的である必要があり、説明義務や記録義務も厳格です。オペレーターはこれらの複雑な法規制を常に意識し、適切なスクリプトに沿った対応を徹底しなければなりません。このため、オペレーターの専門知識習得には多大な時間とコストがかかり、また個々の対応品質の維持が困難になるという課題があります。
ローン契約書の専門用語の解説、証券取引のルール説明、クレジットカードの利用規約に関する詳細、ノンバンクにおける融資条件の個別相談など、金融商品に関する問い合わせは高度な専門知識を要します。顧客の状況は千差万別であり、画一的な回答では対応しきれないケースが頻繁に発生します。オペレーターは、これらの専門知識を習得し、かつ顧客の疑問点や懸念を正確に理解し、個別具体的な状況に応じた適切な情報提供を行うための高いスキルが求められます。これは、オペレーターの育成難易度を高め、慢性的な人手不足の一因となっています。
金融機関は、顧客の氏名、住所、連絡先、資産状況、取引履歴など、極めて機密性の高い個人情報を大量に扱います。そのため、個人情報保護法や「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」に基づき、情報漏洩や不正アクセスを厳しく防止する義務があります。電話対応においても、顧客からの問い合わせに対しては、必ず厳格な本人確認プロセスを経る必要があります。この本人確認プロセスは、セキュリティを確保する上で不可欠ですが、一方で顧客の待ち時間や応対時間の増加を招き、顧客体験を損なう要因となることがあります。
前述の通り、金融業界のコールセンターオペレーターには、高度な専門知識、厳格なコンプライアンス意識、そして顧客に寄り添うコミュニケーション能力が求められます。これらの要件を満たす人材の確保は極めて困難であり、慢性的な人手不足に直面しています。採用活動には多大なコストと時間を要し、さらに専門知識を習得させるための育成プログラムもおおむね3ヶ月と長期にわたります。加えて、業務のプレッシャーやデリケートな内容の対応による精神的負担から、オペレーターの離職率が高いことも、恒常的な課題となっています。
クレジットカードの利用料督促やローン返済の確認、保険料の未払いに関する連絡など、未収金管理や督促業務は金融業界において必要不可欠な業務です。しかし、これらの業務は、顧客にとってデリケートな内容であり、オペレーターにとっても顧客との間で感情的な摩擦が生じやすく、大きな心理的負担を伴います。精神的なストレスからオペレーターの定着率が低下したり、業務の質が低下したりするリスクがあります。また、オペレーターの感情に左右されず、一貫した対応を行うことが求められるため、業務の標準化も課題となります。
これらの問題は、刻々と変化する社会情勢や顧客のライフスタイルに、電話窓口の体制が追いついておらず、すべての業務を人で対応しようとしてしまうが故に起きている問題であると考えられます。
そこで、本来人間が対応すべき「高度な判断を要する業務」と、システムで代替可能な「定型業務」でしっかり業務の仕分けをすることによって、電話業務の効率化・自動化が可能になります。業務特性に合わせて、人とAIの役割を最適に分担することで、顧客とオペレータのそれぞれが満足できる環境を実現します。
業務内容:
■よくあるお問い合わせの対応や、資料請求者への即時フォローなどの営業サポート業務。
■マニュアル化された申し込み作業などの「定型業務」。
■業務量が多く、温度感が高まりやすい「督促業務」。
役割:
■24時間365日対応で顧客満足度を向上。
■一次受付・FAQ対応の効率化で、入電数の削減とオペレータの専門業務への集中を促進。
■AIによる一貫した情報提供で、顧客体験と応対品質の均質化に貢献。
業務内容:
AIでは判断が難しい突発的な事態や、迅速な人間的介入が必要なケース、ぬくもりのある対応が必要な業務。
役割:
■お客様の状況に応じた商品の提案や、高度な専門知識に基づく綿密な対応。
■複雑な商材やサービスを丁寧に説明し、顧客と企業の間で信頼関係を構築する。
ボイスボットとは、AI(人工知能)を活用し、人間の声で自動的に電話応対を行うシステムのことです。
従来のIVR(自動音声応答システム)が「○○の方は1番を、△△の方は2番を…」というプッシュボタン操作に限定されていたのに対し、ボイスボットはお客様が話した言葉を直接認識し、自然な対話形式で応答できる点が最大の違いです。これにより、より複雑で柔軟な対応が可能になります。
具体的にどんな業務で活用できるのかを次の章で説明します。
ボイスボットは、金融業界の多岐にわたる業務において、その真価を発揮します。ここでは、代表的な活用事例やイメージをいくつかご紹介します。
クレジットカードやノンバンクなどにおけるローン契約では、契約締結前に最終的な意思確認や重要事項の確認(後確)が義務付けられている場合があります。この後確電話業務においてボイスボットは、顧客に自動で発信し、本人確認を行った上で、契約金額、手数料、分割支払金、返済方法といった重要事項を音声で読み上げ、顧客からの同意を音声で取得し、その対話内容を正確に記録・保存します。これにより、膨大な件数の後確電話を自動化することで、オペレーターの業務負担を劇的に軽減し、契約締結までのリードタイムを短縮することが可能になります。また、音声ログや録音データを自動で取得・保存するため、コンプライアンス要件を確実に満たし、トラブル発生時の証拠としても活用できます。
クレジットカード会社や流通系金融サービスにおいて、カードの紛失・盗難は顧客にとって緊急性の高い事案です。ボイスボットは、顧客からの電話で紛失・盗難の状況をヒアリングし、本人確認を行った上で、即座にカードの利用停止手続きを受け付けます。さらに、再発行手続きの案内や、場合によっては再発行手続き自体をボイスボット上で完結させることも可能です。これにより、24時間365日いつでも紛失連絡ができる体制が整い、オペレーターの営業時間外でも迅速な利用停止処理が可能となるため、不正利用リスクを最小限に抑えることができます。定型的な受付業務を自動化することで、オペレーターはより複雑な不正利用調査や顧客サポートといった、専門性を要する業務に集中できるようになります。
クレジットカードの利用料督促は、金融機関にとって非常に重要ですが、オペレーターにとっては心理的負担の大きいデリケートな業務です。ボイスボットは、支払い期日を過ぎた顧客に対し、自動で発信して支払い状況の確認を行います。未払い金額、支払い期日、支払い方法(振込口座案内、再引き落とし日など)を音声で案内し、顧客からの質問への回答や、簡単な支払い意思確認、支払い予定日の入力受付も可能です。初期段階の督促業務を自動化することで、オペレーターの精神的負担を大幅に軽減し、より困難なケースや個別対応が必要な状況に集中できる環境を構築します。また、一貫したトーンとメッセージで督促を行うため、コンプライアンスを遵守しつつ、督促業務の均一化を図ることができます。
上記の督促業務にも通ずるところはありますが、顧客からの着金状況に関する問い合わせは頻繁に発生します。このような定型的な問い合わせにはボイスボットが効果的です。ボイスボットは、顧客からの電話で口座情報や取引番号をヒアリングし、本人確認を行った上で、システムと連携しリアルタイムで着金状況を照会し、顧客に音声での案内が可能です。顧客は待ち時間なくいつでも着金状況を確認できるため、不安が解消され、顧客満足度向上に寄与します。
金融業界の電話業務は、法的・規制要件の厳格さ、高度な専門知識の要求、顧客情報の厳重な保護、そして人手不足といった構造的な課題に直面しています。これらの課題は、顧客満足度の低下、オペレーターの業務負担増大、ひいては企業の競争力低下に繋がりかねません。
ボイスボットは、これらの多岐にわたる課題に対する強力な解決策として、金融業界の未来を拓く可能性を秘めています。24時間365日体制での自動応答、定型業務の自動化によるオペレーターのコア業務集中、応対品質の均一化とコンプライアンス強化、そして顧客体験の劇的な向上など、ボイスボットは様々なベネフィットをもたらします。
今後も、AI技術の進化に伴い、ボイスボットはさらに高度な対話能力と複雑な業務処理能力を獲得し、他のデジタルチャネルとの連携も深まることで、金融機関のオムニチャネル戦略の中核を担う存在となるでしょう。
株式会社TACTが提供する、AI コンシェルジュ®は、電話対応業務の自動化・効率化で、さまざまな場面で活用されています。電話時に人の発する言葉を音声認識でテキスト化し、辞書やDBと連携・適切な回答を抽出・音声合成で回答することで、音声対話を可能とするAIソリューションです。
国内トップクラスの音声ボット導入実績と、長年のコールセンター運営で培ったノウハウで、サービス導入後も目標達成に向けチューニングを繰り返し徹底的にサポートいたします。また、様々なシステムとの連携が可能となっており、企業ごとにカスタマイズしたフローや音声認識辞書を構築し、複雑な業務も高い品質で実現しています。
コールフローや対応内容によって初期費用や月額費用が異なりますので、まずはお問い合わせください。
・ガス業界編|ボイスボットで変わる業務効率化と満足度!
・保険業界編|ボイスボットによる業務改革とコストカット!
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