News & Blog
2025.07.11
ブログ
AIコンシェルジュ
コールセンターDXガイド
あらゆる業界の「声」の課題に、AIが応える。
新連載【コールセンターDXガイド】が始まります。
第3弾は、私たちの暮らしを支える「自治体」。少子高齢化やデジタル化の進展に伴い、自治体を取り巻く環境は大きく変化しています。住民サービス向上と職員の働き方改革を両立させるためには、従来の業務のあり方を見直し、デジタル技術を積極的に導入する「自治体DX」の推進が不可欠です。
今後も様々な業界を特集する予定です。
貴社の課題解決のヒントが、きっと見つかります。
自治体の弊社事例:
■ 東京都 狛江市:AIによる「申告勧奨・納税勧奨」で聞取り・結果分析
■ 新潟県 三条市:電話自動案内システムを用いて、来庁予約の24時間受付
■ 東京都 羽村市:「納税案内電話」で納税予定日聞き取りやSMS送信
■ 福岡県 北九州市:全7区役所に予約システム導入「待たない窓口」実現へ
自治体の電話窓口は、住民と行政をつなぐ重要な接点です。しかし、その裏側には、人手不足や複雑な問い合わせ対応、営業時間外の対応限界など、多岐にわたる構造的な課題が存在しています。これらの課題は、住民の利便性低下だけでなく、職員の過重労働やストレス増大にも直結しており、持続可能な行政サービスの提供を阻害する要因となっています。
自治体には、住民票の取得、ゴミの分別、各種イベントの開催情報など、日々大量の定型的な問い合わせが寄せられます。これらの繰り返し発生する業務は、職員の貴重な時間を大きく占有し、本来注力すべき個別性の高い複雑な相談や、専門知識を要する行政手続きへの対応を妨げています。住民からの問い合わせ内容は多岐にわたり、各部署の専門知識が求められるため、担当部署への電話転送や、複雑な説明に多くの時間を要する場面も少なくありません。これにより、限られた人員で多様なニーズに応え続けることが困難となり、職員一人あたりの業務負担が著しく増大しています。
自治体の電話窓口は、原則として開庁時間に限定されております。しかし、日中忙しい学生や社会人は、仕事や勉学の合間を縫って電話をしなければならず、不便を強いられることもあります。また、閉庁日に発生する問い合わせに対応できないことは、住民にとっての利便性を著しく損ねます。それに加えて、休日・祝日明けの開庁日には電話が殺到してしまい、あふれ呼や応答率の低下などといった住民サービスの不満に繋がってしまう恐れもあります。
自治体の電話業務には、確定申告期間、特定の助成金申請期間、災害時など、特定の時期に問い合わせが急増する季節性・一過性の業務が多数存在します。これらの期間は、通常の業務に加えて一時的に膨大な対応が必要となるため、臨時職員の確保や派遣社員の活用が不可欠です。しかし、短期間で業務に必要な専門知識や複雑な対応スキルを習得させるための集中的な教育には多大な時間とコストがかかり、常に正確で質の高いサービス提供を維持することが困難となる課題を抱えています。
住民への情報伝達や確認のため、健康診断の未受診者への個別連絡、税金や料金の滞納者への督促、制度変更や重要なお知らせの個別通知、さらには災害時の安否確認など、多岐にわたる電話発信業務を日常的に行っています。これらの業務は、対象者一人ひとりへの架電や、連絡がつかない場合の再架電、デリケートな内容の伝達、そして時にはクレーム対応など、非常に時間と労力を要します。特に、督促業務は金銭が絡むため、住民の温度感も上がりやすいです。そのため、職員に精神的な負担がかかりやすく、業務負荷の増大とともにストレスの蓄積に繋がっています。
これらの問題は、刻々と変化する社会情勢や住民のライフスタイルに、電話窓口の体制が追いついておらず、すべての業務を人で対応しようとしてしまうが故に起きている問題であると考えられます。
そこで、本来人間が対応すべき「高度な判断を要する業務」と、システムで代替可能な「定型業務」でしっかり業務の仕分けをすることによって、自治体の電話業務の効率化・自動化が可能になります。業務特性に合わせて、人とAIの役割を最適に分担することで、住民と職員(オペレータ)のそれぞれが満足できる環境を作り出すことが可能になります。
業務内容:
■よくあるお問い合わせの対応や、資料請求者への即時フォローなどの営業サポート業務。
■マニュアル化された申し込み作業などの「定型業務」。
役割:
■24時間365日対応で顧客満足度を向上。
■一次受付・FAQ対応の効率化で、入電数の削減とオペレータの専門業務への集中を促進。
■架電業務の簡単な案内を効率化。よけいなストレスを排除し、職員満足度に貢献。
業務内容:
AIでは判断が難しい突発的な事態や、迅速な人間的介入が必要なケース、ぬくもりのある対応が必要な業務。
役割:
■複雑な感情を伴うデリケートな相談に対し、共感と傾聴で信頼関係を構築し、住民の不安を解消。
■住民の状況や説明が抽象的な業務の受付
ボイスボットとは、AI(人工知能)を活用し、人間の声で自動的に電話応対を行うシステムのことです。
従来のIVR(自動音声応答システム)が「○○の方は1番を、△△の方は2番を…」というプッシュボタン操作に限定されていたのに対し、ボイスボットはお客様が話した言葉を直接認識し、自然な対話形式で応答できる点が最大の違いです。これにより、より複雑で柔軟な対応が可能になります。
具体的にどんな業務で活用できるのかを次の章で説明します。
ボイスボットは、その柔軟性と拡張性から、自治体の様々な業務領域で活用が可能です。ここでは、具体的な活用イメージを挙げ、どのように住民サービスと職員の業務が改善されるかを示します。
ボイスボットは、マイナンバーや各種税金、国民健康保険などに関する問合せから、各種健診や公共施設の利用予約、転入・転出の手続き案内まで、定型的な問い合わせや手続きを自動で完結させます。住民は開庁時間を気にせず、電話口で必要な情報を得たり、そのまま予約まで完了できるため、利便性が飛躍的に向上します。AIが判断し、必要な情報を音声で提供するだけでなく、連携システムを通じて手続きを完了させることで、住民の自己解決を促進し、職員は繰り返し対応していた業務から解放され、行政サービスの質を高めます。
税金や公共料金の未納者に対する督促業務において、ボイスボットは大きな効果を発揮します。自動音声で支払い期日の通知や未納額の案内、支払い方法の提示などを行うことで、職員が手動で行っていた架電業務の負担を大幅に軽減します。デリケートな内容を含む督促業務の自動化は、職員の精神的ストレスを軽減し、効率的かつ均質な情報伝達を可能にします。また、自治体が行うキャンペーン(例:プレミアム商品券の申し込み)に関する情報提供・参加促進にもボイスボットを活用できます。
スマートフォンやインターネット操作に不慣れな高齢者や、視覚・聴覚に障がいを持つ方々にとって、音声で情報にアクセスし、行政サービスを利用できるボイスボットは極めて有効なツールです。昨今ではフロントヤード改革で、窓口予約が注目を集めていますが、これをボイスボットを連携させることで、電話口での音声操作だけで窓口の予約を完了させることが可能になります。これにより、ウェブサイトでの複雑な操作が不要となり、住民は自身の都合の良い時間にスムーズに来庁できるため、窓口での待ち時間短縮や手続きの円滑化に繋がります。誰もが行政サービスにアクセスしやすい環境を整備し、デジタルデバイドを解消することで、真に共に支えあえる平等な社会 の実現に貢献します。
自治体運営の改善には、住民からの生の声が不可欠です。ボイスボットは、行政サービス全般に対する意見、改善提案、満足度調査、さらにはインフラの不具合報告(例:道路の陥没、街灯の不具合)などを効率的に収集する窓口となり得ます。収集された音声データやテキストデータをAIが分析することで、住民ニーズの傾向を把握し、具体的な施策立案やサービス改善に繋げるための貴重な情報源として活用できます。これにより、住民参加型のまちづくりを推進し、行政の透明性を高めることが可能です。
ボイスボットを導入することで、以下の3つの大きなメリットを享受できます。
■定型業務の自動化による人件費の削減。
■24時間対応の実現による機会損失の防止。
■オペレータが有人対応必須の業務に集中できるため、コールセンター全体の生産性が向上。
■「電話が繋がらない」という最大のストレスを解消。
■24時間いつでも問い合わせが可能になる利便性。
■手続き完了までの待ち時間が大幅に短縮。
■単純作業やクレーム対応の一次受付から解放され、精神的負担が軽減。
■より専門性が求められる業務に集中でき、スキルアップやモチベーション向上に繋がる。
■オペレータの離職率低下に貢献。
本記事では、少子高齢化やデジタル化の進展に伴い自治体が直面する電話業務の複雑な課題と、その効果的な解決策としてのAI(ボイスボット)の可能性について詳細に解説しました。
自治体の電話窓口は、膨大な定型業務から複雑な問い合わせまで様々な対応に追われ、職員の過重労働を引き起こしています。また、開庁時間外の対応限界は住民の利便性を損ね、繁忙期には一時的な人員確保と教育に多大なコストがかかるほか、デリケートな内容を含む発信業務は職員の精神的負担を増大させています。これらの構造的課題は、住民サービスの質と職員の働き方の両面で持続可能性を脅かしています。
このような状況に対し、AIを活用したボイスボットは革新的なソリューションを提供します。24時間365日の自動応答で住民の利便性を飛躍的に向上させ、よくある問い合わせや各種手続きの自動完結により職員をより専門的な業務に集中させることが可能です。さらに、架電業務の効率化や、音声操作によるデジタルデバイドの解消にも貢献し、誰もが行政サービスにアクセスしやすい環境を整備します。
ボイスボットの導入は、単なる業務効率化に留まらず、住民ニーズをデータとして収集・分析し、より質の高い行政サービスへと繋げる自治体DX推進の強力な基盤となります。住民サービスの向上と職員の働き方改革を同時に実現するボイスボットは、これからの自治体の電話業務において、重要な役割を果たすことになるでしょう。
株式会社TACTが提供する、AI コンシェルジュ®は、電話対応業務の自動化・効率化で、さまざまな場面で活用されています。電話時に人の発する言葉を音声認識でテキスト化し、辞書やDBと連携・適切な回答を抽出・音声合成で回答することで、音声対話を可能とするAIソリューションです。
国内トップクラスの音声ボット導入実績と、長年のコールセンター運営で培ったノウハウで、サービス導入後も目標達成に向けチューニングを繰り返し徹底的にサポートいたします。また、様々なシステムとの連携が可能となっており、企業ごとにカスタマイズしたフローや音声認識辞書を構築し、複雑な業務も高い品質で実現しています。
コールフローや対応内容によって初期費用や月額費用が異なりますので、まずはお問い合わせください。