News & Blog
2025.08.29
ブログ
AIコンシェルジュ
コールセンター
「先日お申し込みいただいた件で、ご契約内容の最終確認です」
—— サービス契約後に、このような電話を受けた経験はないでしょうか。
このプロセスは「後確電話(あとかくでんわ)」と呼ばれ、多くの業界、特に金融や保険、不動産といった分野で不可欠な業務とされています。
この記事では、「後確電話とは何か?」という基本的な問いから、その法的な目的、そして企業と顧客の双方にとって無視できない課題、さらにはAI・ボイスボットを用いた最新の自動化まで、網羅的に解説します。
まず、「後確電話」の基本的な定義と、なぜこの一見すると手間のかかるプロセスが必要なのか、その理由を掘り下げていきましょう。
後確電話とは、顧客が商品やサービスを契約した後、企業側が電話をかけて「契約内容を正しく理解し、自らの意思で契約したか」を最終確認する手続きのことです。単なるお礼の電話ではなく、契約の有効性を担保し、将来のトラブルを防ぐための重要な業務プロセスとして位置づけられています。
後確電話には、主に「コンプライアンス遵守」と「顧客関係の構築」という2つの重要な目的があります。
■ 目的1:顧客保護とコンプライアンス遵守
特に金融業界では、金融商品取引法や改正保険業法などの法令により、事業者は顧客が商品のリスク等を十分に理解した上で契約したかを確認する義務(適合性の原則、説明義務)を負っています。
後確電話は、この法的義務を履行した証跡を残すための極めて重要な手段です。万が一、「説明されていない」「意図しない契約だった」といったトラブルが発生した際に、企業と顧客の双方を守るための防波堤となります。
■ 目的2:健全な顧客関係の構築
後確電話は、法的な義務を果たすだけでなく、顧客との最初の信頼関係を築くための重要なコミュニケーション手段でもあります。契約直後の顧客が抱える僅かな不安や疑問を解消し、「この会社はしっかりしている」という安心感を与えることができます。この丁寧な一手間が、長期的な顧客ロイヤルティの基盤となるのです。
このように重要な後確電話ですが、その運用方法によっては、企業の経営に深刻な影響を与える課題を内包しています。その課題は、「コスト・生産性」という守りの側面と、「顧客満足度」という攻めの側面から見ることができます。
従来の人手による後確電話は、企業の収益性を圧迫する非効率な構造を抱えています。
■ 利益なき業務への過大な工数
後確電話は、利益を直接生まない「ノンプロフィット業務」です。にもかかわらず、顧客が電話に出られないことで発生する膨大な再架電や、多岐にわたる確認項目による長時間通話で、多くの工数を消費しています。
■ 高止まりする採用・教育コスト
この業務は、創造性の介在する余地のない単純作業の繰り返しです。そのため、オペレーターのスキルアップやキャリア形成に繋がりにくく、高い離職率の一因となります。結果として、企業は利益を生まない単純作業を担う人材を確保するためだけに、終わりの見えない採用・教育コストを支払い続けるという、深刻な矛盾に陥ります。
■ プロフィットセンター化の阻害
本来、顧客と直接対話できるコールセンターは、アップセルや顧客ニーズの収集といった「プロフィットセンター(利益創出拠点)」としての潜在能力を持っています。しかし、後確電話のような非効率なノンプロフィット業務にリソースを奪われることで、その役割は「コストセンター(コスト消費部門)」に固定化され、企業全体の成長機会を損失しているのです。
企業側の課題は、巡り巡って顧客満足度の低下、ひいてはビジネス機会の損失に繋がります。
■ 顧客の時間を奪うコミュニケーション
多くの顧客は、平日の日中に一方的にかかってくる電話を歓迎しません。自分の時間をコントロールしたい現代の顧客にとって、企業の都合に合わせることを強いるコミュニケーションは、大きなストレスとなります。
■ ブランドイメージの毀損
業務上仕方がないこととはいえ、不在着信が何度も続いたり、折り返そうとした時には窓口がしまっていたり……このようなネガティブな顧客体験は、たとえ契約した商品・サービスが良くても、企業そのものへのブランドイメージを損ないかねます。
■ 将来の機会損失
初回の顧客接点である後確電話で悪い印象を与えてしまうと、その後のアップセルやクロスセル、優良顧客への育成といった、将来得られるはずの利益(ライフタイムバリュー)を失うリスクを高めてしまうのです。
人手不足が深刻化し、顧客の価値観が多様化する現代において、これら後確電話の課題を人海戦術で解決し続けることには限界があります。そこで必然的な解決策として浮上するのが、テクノロジーを活用した「後確電話の自動化」です。
電話自動化サービス、特にAIを活用した「ボイスボット」は、これまで人の手で行ってきた発信業務を代替・効率化し、前述した経営課題を根本から解決します。
■ オペレーションコストの課題に対して
24時間365日稼働するボイスボットが単純作業を代替します。オペレーターは人でしかできない高付加価値業務に集中でき、生産性と従業員満足度が向上します。採用・教育コストも大幅に削減できます。
■ 顧客満足度の課題に対して
顧客は夜間早朝や祝休日など、自身の都合の良い時間に折り返し、自動音声ガイダンスで後確を完了できます。企業都合から顧客都合のコミュニケーションへ転換することで、顧客体験を劇的に改善します。
■ 品質とコンプライアンスの課題に対して
承認されたスクリプトを100%正確に実行するため、ヒューマンエラーを撲滅し、常に高品質で均一な読み上げを担保します。また、顧客が追加の説明や内容変更を希望される場合は有人窓口へ転送することもできますので、効率的に顧客満足度と法令遵守の意識を飛躍的に高めることが可能です。
アイフルグループのAGペイメントサービス株式会社では、ボイスボット『AI コンシェルジュ®』を用いて、ショッピングクレジットを申し込んだお客様への「契約内容確認業務」の自動化を実現しています。
ショッピングクレジットを契約したお客様へ自動的に電話をかけ、契約内容の確認を行います。これにより、契約内容の誤りや不備が迅速に発見・修正され、サービスの品質が一層向上します。
さらに、契約したお客様からの折り返し電話の24時間受け付け可能となっているため、多様化する顧客のライフスタイルに合わせた対応が可能です。
本記事では、「後確電話とは何か」という定義から、その目的、そして現代企業が直面する深刻な課題と、その解決策について解説しました。
後確電話は、法令遵守と顧客保護のために不可欠な業務です。しかし、その運用方法を旧態依然のまま放置することは、コストを垂れ流し、顧客を遠ざけ、従業員を疲弊させるだけの「負のスパイラル」を生み出してしまいます。
後確電話の業務プロセスを見直し、ボイスボットのようなテクノロジーを戦略的に活用すること。それは、単なるコスト削減に留まらず、顧客満足度と従業員エンゲージメントを高め、企業の競争優位性を確立するための、極めて重要な経営判断と言えるでしょう。
自社の後確電話業務の現状を正しく理解し、未来に向けた一歩を踏み出すことが、今まさに求められています。
株式会社TACTが提供する、AI コンシェルジュ®は、電話対応業務の自動化・効率化で、さまざまな場面で活用されています。電話時に人の発する言葉を音声認識でテキスト化し、辞書やDBと連携・適切な回答を抽出・音声合成で回答することで、音声対話を可能とするAIソリューションです。
国内トップクラスの音声ボット導入実績と、長年のコールセンター運営で培ったノウハウで、サービス導入後も目標達成に向けチューニングを繰り返し徹底的にサポートいたします。また、様々なシステムとの連携が可能となっており、企業ごとにカスタマイズしたフローや音声認識辞書を構築し、複雑な業務も高い品質で実現しています。
コールフローや対応内容によって初期費用や月額費用が異なりますので、まずはお問い合わせください。
■ 【コールセンターDXガイド|金融業界編】ボイスボットで実現する電話業務の効率化と顧客体験向上への道筋
■ 【コールセンターDXガイド|保険業界編】ボイスボットによる業務改革とコストカット!
■ リコーリースにて、電話自動案内システム『AIコンシェルジュⓇ』を用いたコールセンターの受電における8つのお問い合わせ対応を2月より本格稼働