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2025.09.05

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督促電話を効率化するには? 応対品質と利便性向上を実現するDX戦略について解説!

AIコンシェルジュ

導入事例

企業や自治体の健全な運営において、キャッシュフローの安定は最重要課題の一つです。その根幹を支えるのが、支払い期日を過ぎた料金や税金の回収、すなわち「督促業務」です。本記事では、この督促業務の中核をなす「督促電話」に焦点を当て、その重要性と課題を明らかにし、テクノロジーを活用した解決策として注目される「ボイスボット」の可能性について詳説します。

督促とは

そもそも「督促」とは、商品代金、サービス利用料、税金といった金銭の支払いが、定められた期日までに確認できない場合に、支払い義務のある方(債務者)に対して、契約や法令に基づいて支払いを要求する行為を指します。

例えば、クレジットカード会社が引き落としできなかった顧客に支払いを求めたり、自治体が納期限を過ぎた住民税の納付を案内したりするケースがこれにあたります。

この督促を行う主な手段として、電話が用いられることが多く、これを「督促電話」と呼びます。

催促との違い

ここで、しばしば混同されがちな「催促」との違いを明確にしておきましょう。

「催促」が、支払い期日前後のリマインドなど、比較的穏やかに支払いを「お願いする」行為であるのに対し、「督促」は、期日を過ぎても支払いがない場合に、契約や法令に基づいて義務の履行を強く「要求する」行為です。

特に「督促」は、法的措置を視野に入れた正式な手続きの一環と位置づけられることが多く、より重い意味合いを持ちます。金融機関や自治体が行う回収業務も、この「督促」に分類されます。

なぜ督促の手段として電話が主流なのか

督促状を受け取り、電話で対応している様子

メールや郵送物といった他の通知手段もある中で、なぜ督促業務では今なお電話が中核を担っているのでしょうか。その最大の理由は、「即時性」と「双方向性」 にあります。

電話は、相手に直接繋がり、その場で用件を確実に伝えることができます。メールのようにほかのメールに紛れて未開封であったり、郵送物のように転居先不明で届かなかったりするといったリスクを低減することができます。さらに、電話はその場で支払えない理由をヒアリングしたり、支払目途の日程を確認したりと、柔軟な対応が可能です。このような一方的な通知では得られない「支払い意思の確認」や「個別事情の把握」ができるため、次のアクションを的確に判断する上で、電話は重要な手段となっています。

督促電話が抱える深刻な課題

督促電話は、その重要性とは裏腹に、多くの構造的な課題を抱えています。

まず、対象となるリストが膨大である点が挙げられます。特に、クレジットカード会社や公共料金を扱う事業者では、毎月大量の架電リストが発生するケースも少なくありません。さらに深刻なのが、電話がつながらない「不出」の多さです。日中、仕事や外出で電話に出られない対象者は多く、一度でコンタクトが取れるケースは稀です。結果として、同じ相手に何度も再架電する必要が生じ、業務量は雪だるま式に増加します。

大量の架電作業の繰り返しはオペレーターに大きな負荷を強い、時には感情的な対応を求められることもあり、そのストレスは計り知れません。こうした状況は、コールセンター業界が恒常的に抱える 「深刻な人手不足」「高い離職率」 という問題に直結します。

督促業務のDXは「業務の仕分け」から始まる

前述した督促業務が抱える根深い課題に対し、真の解決策は、人手を増やしたり、闇雲にツールを導入したりすることではありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させる第一歩は、まず既存の業務を 「人でしかできない高付加価値業務」「自動化すべき定型業務」 に正確に仕分けることから始まります。

電話業務において、人でしかできない高付加価値業務とは、例えば複雑な事情を抱える顧客の相談を受ける、予期せぬクレームへの対応、あるいは特別な配慮を要する相手への共感に基づいた対話などが挙げられます。これらは、オペレーターの経験、判断力、そして人間ならではのコミュニケーション能力が最大限に活かされる領域です。

一方で、膨大なリストへの初期架電、支払い忘れの単純なリマインド、支払い意思の有無を確認する一次対応といった業務は、ルール化しやすく、再現性が高い「定型業務」です。真の業務改革とは、オペレーターをこの定型業務の繰り返しから解放し、貴重なリソースを高付加価値業務へ集中させる環境を構築することに他なりません。

ボイスボットが「定型業務」の自動化を推進する

AIが定型的な単純作業をこなしている

この「定型業務」の自動化を担う最適なソリューションとして、近年「ボイスボット」の活用が急速に進んでいます。ボイスボットとは、AI(人工知能)を活用し、人間のように自然な対話が可能な自動音声応答システムです。従来のIVR(自動音声応答)がプッシュボタン操作を主とする一方、ボイスボットは音声認識・音声合成技術によって、より柔軟で人間らしいコミュニケーションを実現します。

ボイスボットは、あらかじめ設定されたリストに基づき、オペレーターに代わって自動で架電を行います。これにより、オペレーターは「電話をかける」という単純作業から解放され、前述の「高付加価値業務」に分類される特別な対応が必要な顧客との対話に集中できます。結果として、限られた人員で対応可能な件数が飛躍的に増加し、業務全体の生産性が劇的に向上します。

利便性を最大化する「折り返し対応機能」

ボイスボットの真価は、一方的な発信業務の自動化だけではありません。多くのボイスボットソリューションには「折り返し対応機能」が搭載されており、顧客体験(CX)と業務効率をさらに向上させます。例えば、ボイスボットからの着信に気づいた顧客が、自身の都合の良い時間に折り返し電話をかけた際にも、ボイスボットが自動で受付します。用件を伝えたり、支払い方法をSMSで案内したり、支払い予定日をヒアリングしたりといった対応を完結させることが可能です。

この機能により、顧客は「コールセンターの営業時間内に電話しなければならない」という制約から解放されます。企業側もオペレーターが不在の時間帯であっても顧客からのアプローチを逃さず、機会損失を防ぐことができます。顧客の利便性を高めながら、24時間体制の自動受付窓口を実現できるこの機能は、督促業務における顧客との関係性を良好に保つ上でも非常に有効です。

安定した品質と柔軟な運用を実現

ボイスボットの導入は、応対品質の標準化運用の柔軟性という二つの側面で大きなメリットをもたらします。人間のオペレーターの場合、経験やスキルによって応対品質にばらつきが生じることが避けられません。しかし、ボイスボットであれば、ガイダンスに基づき、常に100%同じ品質で応答します。これにより、伝え漏れや誤案内といった人為的ミスを撲滅し、コンプライアンスを遵守した安定的な応対が保証されます。

さらに、督促業務には月末や月初といった特定の時期に業務量が急増する「繁閑差」が存在します。従来であれば、繁忙期に合わせて最大数のオペレーターを確保する必要があり、閑散期には人員が過剰になるというコストが生じていました。ボイスボットはクラウドベースで提供されることが多く、必要な時に必要な分だけリソース(回線数など)を増減させるスケーリングが容易です。これにより、業務量の波に柔軟に対応し、人件費や設備投資を最適化することが可能になります。

ボイスボットについてもっと知る

ボイスボットによる督促電話自動化の事例

ここからは実際にボイスボットによる督促業務の事例を見ていきましょう。

【JAふくしま未来の事例】

JAふくしま未来では共済掛金や購買代金の未収に対する督促電話が課題となっておりました。JA職員が、通常の業務に加え、昼休みや残業時間を用いて架電業務を行っており、職員への負担や、JAグループ全体の「働き方改革」のポリシーに沿っていないとして、業務自動化のソリューションを探していました。そこで株式会社TACTの提供するボイスボット『AIコンシェルジュⓇ』を用いることで、架電業務の自動化を実現しました。

仕組みとして、担当者が架電対象者のリストをアップロードすると、AIが自動で電話をかけ、共済掛金ないしは購買代金の入金状況の確認を行います。また、未収が確認できた場合には、AIから入金予定の日程をヒアリングすることが可能になっています。

業務担当者が架電リストをアップロードすると、ボイスボット『AIコンシェルジュ®

』が自動未収案内を行う。同時に、支払予定日のヒアリングを行い、応対結果は業務担当者に連携される。また、不出の場合はSMSを自動で送信し、未入金があることをお伝えする。

さらに、架電対象となる顧客が農業従事者が多く、農作業をされている日中よりも、夜間のほうが接続率が高いという傾向もあったため、顧客のライフスタイルに応じた架電時間の設定や、折り返し電話の対応を可能にすることで、多様化するニーズに合わせたより柔軟な自動化を実現することができました。

 → JAふくしま未来のニュースリリースはこちら

【東京都羽村市の事例】

羽村市は2023年から、納税案内の電話催告業務の一部に、ボイスボット『AIコンシェルジュⓇ for LGWAN』を導入しています。もともと羽村市では、ボイスボットとは別の技術で架電の自動化に取り組んでいたものの、業務完了の面で課題を感じていました。折り返しで入電を受けた際に対応ができなかったり、音声認識がないため、本人確認や支払いの予定日のヒアリングが難しいといった、どうしても有人による対応が必要になってしまう場面があり、改善の余地がありました。
そこで、ボイスボットを用いることで、折り返し対応によるさらなる効率化や、本人確認・支払予定日のヒアリング機能を追加したことによってより多くの情報を自動で収集できるようになりました。また、電話に出なかった市民に対してはSMS(ショートメッセージ)を送り、リマインドや後日アプローチする際に円滑になる業務が実施できるような工夫もなされています。その結果、職員はコア業務時間の確保と架電結果の分析を行うことに集中できるようになりました。

「納税案内の架電」イメージ。AI「こちらは羽村市役所納税課です。○○さまであれば『はい』とお答えください。」納税者「はい」AI「税金の納付が確認できておりません。お早めに納付をお願いいたします。納付いただける方は、納付の予定日をお答えください。」納税者「五月末頃です。」→終話後納税案内SMS送信

また、『AIコンシェルジュⓇ for LGWAN』はその名前にもあるように「LGWAN」という地方公共団体を相互に接続する行政専用ネットワークに対応したボイスボットであり、万全なセキュリティの元でも安定した稼働ができる点も評価されています。

 → 羽村市のニュースリリースはこちら

まとめ:ボイスボットで督促業務を戦略的部門へと変革する

本記事では、督促電話が抱える非効率性やオペレーターへの高負荷といった課題と、その解決策としてのボイスボットの有効性について解説しました。ボイスボットは、膨大なリストへの自動架電、24時間対応の折り返し受付、応対品質の標準化、そして繁閑に応じた柔軟なリソース調整を可能にします。

これまで人手と時間に頼らざるを得なかった督促業務は、テクノロジーの活用によって、その姿を大きく変えようとしています。単純作業を自動化することで、従業員はより付加価値の高い、人間でなければできない業務に集中できるようになります。これは、従業員満足度の向上と離職率の低下にも繋がり、企業経営に好循環をもたらすでしょう。

督促業務を単なる「コストセンター」と捉える時代は終わりを告げました。ボイスボットを代表する強力なAIツールを導入し、業務プロセスをDXすることで、督促業務は企業のキャッシュフローを安定させ、経営基盤を強化する「戦略的部門」へと進化させることが可能です。

サービス紹介:AIコンシェルジュ

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株式会社TACTが提供する、AI コンシェルジュ®は、電話対応業務の自動化・効率化で、さまざまな場面で活用されています。電話時に人の発する言葉を音声認識でテキスト化し、辞書やDBと連携・適切な回答を抽出・音声合成で回答することで、音声対話を可能とするAIソリューションです。

国内トップクラスの音声ボット導入実績と、長年のコールセンター運営で培ったノウハウで、サービス導入後も目標達成に向けチューニングを繰り返し徹底的にサポートいたします。また、様々なシステムとの連携が可能となっており、企業ごとにカスタマイズしたフローや音声認識辞書を構築し、複雑な業務も高い品質で実現しています。

コールフローや対応内容によって初期費用や月額費用が異なりますので、まずはお問い合わせください。

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