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2025.06.20
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コールセンター
カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを最大限に活用し、「顧客(Customer)自身の成功(Success)」を実現できるように企業が先回りしてサポートを行うアプローチを指します。もともとはSaaSやサブスクリプション型のビジネスモデルとともに注目され始めた概念で、いかに解約率を下げ、顧客単価や顧客生涯価値(LTV)を向上させるかを重視する今の時代に欠かせない戦略として広がっています。
コールセンター業界では、従来「顧客からの問い合わせを受け付け、問題を解決する」カスタマーサポートが中心的な役割を担ってきました。問い合わせ対応自体は今でも重要ですが、ビジネス環境が変化し、競合が増えた結果、顧客が不満を感じると強い乗り換え意識を持ちやすくなっています。そこで、単なる「受け身のトラブル対応」ではなく、「顧客が本当に求める価値を理解し、能動的に成功へ導く」取り組みとしてカスタマーサクセスが注目されるようになりました。
カスタマーサクセスの大きな特徴は、単なる「受け身のサポート」ではなく、「顧客の成功を実現する」ことにフォーカスしている点です。コールセンターやBPO(Business Process Outsourcing)事業では、業務委託を受けたクライアント企業の顧客対応やバックオフィス業務を代行し、その結果としてクライアント企業の満足度やビジネス成果を左右します。ここでは、カスタマーサクセスに関わる3つの大きな目的について説明します。
コールセンターやBPOでは「契約更新」や「追加受注」が主要な収益源となります。顧客企業が不満を感じると、契約終了後に他社へ乗り換えたり、自社内製化を図ったりするリスクが高まります。
● 取り組み例
・応答率や平均通話時間など、クライアントが重視するコールセンターKPIをモニタリングし、目標未達の原因を早期に発見・改善を行う
・定期的なレポーティングやフォローアップを実施し、「このBPO・コールセンターなら成果が出る」と確信を持ってもらう
● 主なKPI
・解約率(チャーンレート)
・顧客維持率(リテンションレート)
クライアント企業の課題を的確に把握し、追加サービスや改善提案を行うことで、単なるコストセンターに留まらず、アップセルやクロスセルを通じて売上に貢献します。
● 取り組み例
・電話対応に加えて、チャットやメールなど複数チャネルへの拡張支援
・蓄積された顧客データの分析を活用し、マーケティング施策へのフィードバックを提供
● 主なKPI
・アップセル率 / クロスセル率
・追加契約金額や契約単価上昇率
コールセンターやBPOはクライアント企業の「窓口」としてエンドユーザー対応を担うことが多いため、対応品質が企業ブランドや顧客満足度を大きく左右します。一方で、クライアント企業との関係を「ただの受託先」ではなく「ビジネスパートナー」へと強化するには、継続的な成果創出や改善提案が欠かせません。
● 取り組み例
・スタッフ教育やFAQ整備を充実化し、顧客満足度を高める
・定期レビューを通じて、クライアントの新たな課題や目標を共に検討
・顧客推奨度(NPS:Net Promoter Score)の調査を実施し、高評価ユーザーを活用した事例発信や低評価ユーザーへの対策を講じる。
● 主なKPI
・顧客満足度
・NPS
・LTV
ここではよく混同されるカスタマサポートやカスタマーエクスペリエンスとの違いについて説明します。
コールセンターと言えば真っ先に思い浮かぶのは「カスタマーサポート」ですが、カスタマーサクセスとは目的・アプローチが異なります。カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせやトラブルを解決し、顧客満足度を維持・向上させるための活動です。たとえば製品の不具合や使い方に関する質問に対して迅速かつ的確に対応し、顧客が抱える問題を速やかに解消します。さらにFAQ(よくある質問のまとめ)やマニュアルを整備することで、問い合わせを最小限に抑えることも重要な役割となります。コールセンターでの一連のサポート業務は、顧客対応のプロとしての専門知識と同時に、サービスの安全運用を支える屋台骨のような存在でもあります。
一方で、カスタマーサクセスは「顧客が困ってから支援する」だけではなく、「まだ顧客が感じていない不安やニーズを先取りし、成功へと導く」点に違いがあります。カスタマーサポートが現場対応を中心とするのに対し、カスタマーサクセスは顧客の長期的な成長や満足度向上を念頭に置くことが特徴です。
カスタマーサクセスは顧客の成功にフォーカスし、カスタマーサポートは現場対応が主軸となる一方で、カスタマーエクスペリエンス(CX)は、企業と顧客が接点をもつあらゆる場面での「総合的な体験の質」を重視します。カスタマーエクスペリエンス(CX)は、コールセンターを含むすべてのタッチポイントで、顧客にポジティブな体験を提供し、ブランドへの好感度や信頼感を高めることを目的とします。オンラインサイトや店舗、広告、アフターサービスなど、あらゆるチャネルを統合し、一貫性あるメッセージやサービスレベルを維持することで、顧客は企業やブランドを「信頼できる存在」と認識しやすくなります。結果として、顧客ロイヤリティやNPS向上につながるだけでなく、競合他社との差別化を図るうえでも重要な戦略といえるでしょう。
カスタマーサクセスやサポートの質が高まり、顧客との毎回のやり取りがスムーズかつ親身なものであれば、CXの観点でも好印象が広がります。最初から最後まで顧客とのコミュニケーションに一貫性が保たれれば、顧客は企業に対して「使ってよかった」「これからも利用したい」という前向きな評価を持ち続けやすくなります。
コールセンター業務は、従来「顧客からの問い合わせに対応する」という受け身のサポートが中心です。しかし、カスタマーサクセスを導入することで「顧客が求める価値」を先に捉え、能動的かつ継続的に支援する体制を構築できます。たとえば、新しい機能やサービスの活用法、導入効果の最大化方法などをコールセンター側から積極的に提案することで、顧客の期待以上の価値提供が可能となります。
このように「先手を打って顧客の課題を解決し、価値を提供する」姿勢を見せると、顧客は企業を「自分の成功を支援してくれるパートナー」として認識しやすくなります。結果として、顧客との関係が一時的な問い合わせ対応に留まらず、長期的なパートナーシップへと発展し、継続契約や追加利用、他部署・他組織への紹介などさらなるビジネスチャンスが生まれやすくなります。
問い合わせ対応だけでなく、カスタマーサクセスの活動として定期的にフォローアップの連絡を行い、サービス改善のヒントを提供したり、目的達成のサポートを行ったりすると、顧客側は「自社の課題解決に真剣に向き合ってくれている」というポジティブな印象を抱きます。これによりブランドへの信頼度が高まり、顧客ロイヤリティが格段に向上しやすくなります。
また、企業イメージやブランド価値の向上は、SNSや口コミサイトなどでの好意的な投稿につながりやすいため、結果的に認知度や評判を高める効果も期待できるでしょう。単に「トラブルをスピーディに解決する」だけでは得られない、深い顧客ロイヤリティの獲得が可能です。
顧客が製品やサービスの使い方を十分に理解し、利用価値を最大限に引き出せている状態であれば、コールセンターに寄せられる問い合わせやクレームの件数、深刻度は大幅に減少します。たとえば、頻繁に発生するトラブルの根本原因をカスタマーサクセスの取り組みであらかじめ潰しておくと、ミスや不明点による問い合わせが起こりにくくなるため、サポートスタッフの負荷も軽減されます。
さらに、担当スタッフは本来の問い合わせ対応のみに追われることなく、より付加価値の高い活動(アップセルやさらなる顧客満足度向上策の考案など)に時間を割けるようになるでしょう。結果としてオペレーションの効率が高まり、人件費や研修コストの最適化にもつながります。
カスタマーサクセスでは、顧客やエンドユーザーの利用状況を定期的にモニタリングしたり、問い合わせの内容を分析したりして、顧客やエンドユーザーがどのポイントでつまずきやすいか、どんな機能を実際に使っているかといった具体的なデータを収集します。このデータを活用すれば、コールセンターの対応を改善するだけでなく、自社の製品開発やサービス内容の進化にもつなげられます。
たとえば、多くの顧客がある特定の機能を使いこなせていないと判明した場合は、その機能をより直感的に操作できるよう改良したり、丁寧なマニュアルやチュートリアルビデオを追加するなどの対策が可能です。顧客の声(VOC)を取り入れてサービスを洗練させることで、長期的に見ても顧客満足度の向上と契約更新率のアップが期待できます。
BPOやコンタクトセンター事業を手がける企業では、すでに多種多様なクライアント業務を取り扱っているケースが多く、コールセンター運営のノウハウや人材育成の仕組みが整備されていることがあります。このような体制は、カスタマーサクセスの導入を推進するうえで大きなアドバンテージとなります。
たとえば、あるクライアントのサポート業務施策が成功した場合、その事例を他のクライアント案件にも水平展開しやすい点が挙げられます。均一化されたマニュアルや教育プログラムに加え、スタッフのスキルやコミュニケーションノウハウも共有しやすいため、対象業界が異なる案件でもスピーディにノウハウを流用できます。これにより、複数の顧客企業におけるカスタマーサクセス活動の質を均一に高めることが可能となり、BPO・コンタクトセンター企業自体のブランド力も向上する好循環が生まれます。
カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスを最大限に活用し、「顧客自身の成功」を実現できるよう企業が先回りして支援するアプローチを指します。従来のカスタマーサポートが「顧客からの問い合わせに対応する」という受動的な問題解決を目的としているのに対し、カスタマーサクセスは「まだ顧客が気づいていない潜在的な課題やニーズ」を先取りし、長期的な価値提供を通じて解約率の低減や収益拡大といったビジネス成果を生み出す点が特徴的です。
また、カスタマーエクスペリエンス(CX)が「企業と顧客のあらゆる接点における総合的な体験の質」を重視するのに対し、カスタマーサクセスは「顧客の最終的な成功」にさらに踏み込んで取り組む点で異なります。しかし、カスタマーサポートの対応品質やCX向上の取り組みが充実すればするほど、カスタマーサクセスも円滑に機能するため、これら3つの概念は相互に補完し合う関係にあります。
カスタマーサクセスはコールセンター・BPO企業が「単なるアウトソーサー」から「クライアントと共に成長するビジネスパートナー」へ進化するための重要な戦略です。顧客ロイヤリティやブランド価値の向上、オペレーション効率の最適化など、多方面で大きな効果が期待できるため、今後のコールセンター・BPO業界における差別化要因として、ますます注目されるでしょう。
TACTで提供しているコールセンターの受託運営サービスでは、コールセンター業務を推進していく中で、様々なお客様のVOCを収集し、プロジェクトにあわせた最適なカスタマーサクセスを実施しております。その一例として上記画像にもある、リテンション、クロスセル、アップセルなど様々なカスタマーサクセス施策を実施し、よくある外注・業務委託にならないコールセンターのプロフィット化の実現を目指します。またその中でボイスボットを代表とするAIを使った自動化や、SMSやRPAを使った業務効率化など、幅広いコスト削減・コールセンターDXをご提案可能です。
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