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2025.10.27

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平均後処理時間(ACW)とは? コールセンターのKPIや効率化方法について紹介!

AIコンシェルジュ

コールセンター

「経営層からはコスト削減を、現場からは働き方改善を求められている…」 「オペレーターのスキル差が応対品質のばらつきに直結し、顧客満足度が安定しない…」 「慢性的な人手不足で、採用・教育コストばかりがかさんでいる…」

こうした課題に日々頭を悩ませていないでしょうか。

実は、これらの課題を解決する鍵は、見過ごされがちな指標「平均後処理時間(ACW:After Call Work)」に隠されているかもしれません。本記事では、ACWの重要性を再確認するとともに、AI活用によってACWを劇的に改善し、「コスト削減」「応対品質向上」「従業員満足度(EX)向上」を同時に実現するための具体的な戦略を提示します。

平均後処理時間(ACW)とは

ACW(After Call Work)とは、顧客との通話が終了してから、その応対に関する後処理作業が完了するまでにかかる時間のことです。

日本語に直訳すると「後処理時間」になりますが、一般的にはコールセンター全体またはオペレーター個人の平均の後処理時間を指すKPI(業績評価指標)として使われることが多いです。

具体的な作業内容は多岐にわたりますが、主に以下のようなものが含まれます。

応対履歴の入力:
CRM(顧客関係管理)システムなどへのお問い合わせ内容、対応結果の記録

各種システムへのデータ登録:
受注処理、会員情報の更新など

他部署へのエスカレーション:
担当部署への引き継ぎ連絡や報告書作成

FAQやナレッジの更新:
新たな問い合わせ内容をナレッジとして登録・更新する作業

これらの作業は、次の応対品質を高め、組織全体で顧客情報を共有するために不可欠です。しかし、この時間が長引けば長引くほど、コールセンター全体の生産性を圧迫する要因となります。

平均後処理時間の計算方法・標準値

ACWは、以下の計算式で算出されます。

ACW(秒) = 後処理時間の合計(秒) ÷  総コール数

例えば、あるオペレーターが1日に50件の電話に対応し、後処理時間の合計が3,000秒だった場合、ACWは 3,000 ÷ 50 = 60秒 となります。

ACWの標準値は、業界や扱う商材、後処理で求められる作業の複雑さによって大きく異なります。一般的には1〜10分程度が一つの目安とされますが、自社の過去データと比較したり、同業他社のベンチマークを参考にしたりして、適切な目標値を設定することが重要です。

平均通話時間(ATT)や平均処理時間(AHT)との違い

ACWと混同されやすい指標に、「ATT」と「AHT」があります。これらの関係性を理解することは、コールセンターの生産性を分析する上で非常に重要です。

ATT(Average Talk Time):平均通話時間
オペレーターが顧客と実際に通話している時間。保留時間を含む場合と含まない場合があります。

AHT(Average Handling Time):平均処理時間
1つのコールにかかる総作業時間。通話開始から後処理完了までの一連の時間です。

これらの関係は、以下の式で表せます。


AHT(平均処理時間) = ATT(平均通話時間) + ACW(平均後処理時間)

つまり、コールセンターの生産性を測る最重要指標の一つであるAHTを短縮するためには、ATTとACWの両方を改善する必要があるのです。特にACWは、顧客を介さないオペレーター単独の作業であるため、改善の余地が大きい領域と言えます。

ACWが長くなる主な要因

コールセンターのオペレーターがパソコンの画面を前に頭を抱えている写真

ACWが目標値よりも長くなっている場合、その背景には必ず何らかの要因が存在します。代表的なものをいくつか見ていきましょう。


オペレーターのスキル不足:
タイピング速度が遅い。
・応対内容を要約する能力が低い。
・PCやシステムの操作に不慣れ。

複雑な入力ルール:
応対履歴の入力項目が多すぎる、またはルールが複雑で判断に迷う。
・複数のシステムに同じような情報を二重、三重に入力する必要がある。

システムのパフォーマンス問題:
CRMや各種ツールの起動、画面遷移、データ反映が遅い。

ナレッジ不足:
後処理の方法や入力ルールが分からず、マニュアルやFAQを探すのに時間がかかる。
・スーパーバイザー(SV)に確認する手間が発生する。

これらの要因が複数絡み合うことで、ACWは雪だるま式に増加していきます。

ACWが長くなると起こる問題

コールセンターのマネージャーが頭を悩ませている写真

ACWの長さは、単なる「作業の遅れ」では済みません。個々では小さな時間でも、積み重なれば、経営資源を直接的に蝕む、深刻な問題にすらなりうる恐れがあります。

コストの増大(人件費の圧迫): 
ACWが長いほど、オペレーターは次の入電や架電に対応できません。これは、コールセンター全体の生産性と直結し、オペレーターの増員やスーパーバイザーによるフォローが必要となるため、結果として人件費の増大を招くおそれがあります。


機会損失と顧客満足度の悪化: 
ACWがボトルネックとなり「あふれ呼」や「放棄呼」が増加すれば、それは売上機会の損失に他なりません。さらに、繋がらないストレスは顧客満足度を著しく低下させ、長期的な顧客離れ(チャーン)のリスクを高めます。


オペレーターの負担増と離職コストの増大: 
非効率な後処理は、オペレーターの残業やストレスの直接的な原因です。エンゲージメントの低い職場は離職率を高め、一人あたり数十万~百万円とも言われる採用・教育コストの損失を招き続けます。ACWの改善は、従業員満足度(EX)を向上させ、この負のスパイラルを断ち切るための重要な一手です。

ACWを劇的に改善するソリューション

コールセンターのオペレーターが安心して働いている写真

これらの課題を解決する最も現実的かつ効果的な策が、AIをはじめとするソリューションの導入です。

1.音声認識による「メモ取り」の効率化

通話内容をリアルタイムでテキスト化する音声認識システムは、ACW改善の第一歩です。オペレーターは記憶やメモに頼る必要がなくなり、顧客との対話に集中できます。後処理時に録音を聞き返す作業がゼロになるインパクトは絶大です。

2.AIによる「応対履歴の自動要約」

先に説明した音声認識と生成AIを組み合わせることで、ACW改善は新たな次元に到達します。

【自動要約のプロセス】

1.音声認識: 通話内容をリアルタイムでテキスト化。
2.生成AI: テキスト化された長文の会話データから、「誰が」「何を」「どうしてほしいのか」といった要点を瞬時に抽出し、所定のフォーマットで要約文を自動生成。
3.オペレーター: 生成された要約文を確認・微修正するだけで、CRMへの入力が完了。

この仕組みは、タイピングや要約スキルといった個人の能力差を吸収し、センター全体の応対品質を高いレベルで平準化します。新人オペレーターでも、ベテラン並みのスピードと正確さで後処理を完了できるようになるのです。


3.ノンボイスチャネルの活用

もう一つの強力なアプローチが、ボイスボットやチャットボットといったノンボイスチャネルの活用です。これは1件あたりのACWを短縮するのではなく、後処理が発生するコールそのものを削減することで、センター全体の生産性を飛躍的に向上させます。

例えば、「営業時間を知りたい」「ID・パスワードを再発行したい」といった、よくある質問や定型的な手続きをボイスボットやチャットボットが自動で対応します。これにより、顧客は24時間365日、待つことなく自己解決が可能になります。


その結果、オペレーターはより専門性が求められる複雑な問い合わせに集中できるようになり、対応すべきコール数が減少します。コール数が減れば、それに伴う後処理の総量も当然削減されます。これは、ACW改善が目指す「生産性向上」と「コスト削減」という目的に、別の角度から大きく貢献するアプローチです。


人とAIの協創:ACW改善のその先へ

AIと人が手を取りあっている様子


ACWの改善は、オペレーターの生産性を高める上で非常に重要です。しかし、私たちが本当に解決すべき課題は、その先にある「コストの増大」「機会損失と顧客満足度の悪化」「オペレーターの負担増と離職」であることを忘れてはなりません。

コールセンターを長年運営してきた私たちTACTは、これらの根本課題に対し、直接的かつパワフルな解決策は「ボイスボット」の活用であり、それによって実現する「人とAIの協創」であると考えております。


ボイスボットの仕組み

ボイスボットは、AIが顧客と直接音声で対話し、一次対応を自動化するソリューションです。

例えば、「営業時間案内」や「予約受付」といった定型的な問い合わせを24時間365日AIが担うことで、顧客は「繋がらない」という最大のストレスから解放され、即時解決による満足度向上と機会損失の防止が実現します。同時に、オペレーターは単純かつ反復的な問い合わせから解放されるため、精神的な負担が軽減されるだけでなく、より専門性が求められる複雑な問い合わせに集中できる環境が整います。

その結果、コールセンター全体としての生産性が向上し、人件費の最適化にも直結するのです。


「切り分け」が生み出す新たな価値

人とAIの協創の鍵は、業務の「切り分け」にあります。

AIが得意な業務:
定型的な質疑応答、本人確認、一次ヒアリング、データ入力など、ルールに基づいた高速・正確な処理。

人が得意な業務:
複雑な問題解決、お客様の感情に寄り添った共感的な応対、状況に応じた柔軟な提案(クロスセル/アップセル)など、高度なコミュニケーションと判断が求められる付加価値の高い業務。

この切り分けにより、オペレーターは単純作業から解放され、顧客一人ひとりに深く向き合う「プロフェッショナル」としての役割を担うことができます。その結果、一件あたりの応対品質が向上するだけでなく、顧客との信頼関係を基盤としたクロスセルやアップセルの提案といった、コールセンターをコストセンターからプロフィットセンターへと変革させる新たな価値創造が期待できるのです。


まとめ:

本記事では、通話後に行う応対履歴の入力といった後処理作業にかかる時間である「平均後処理時間(ACW)」について解説し、ACWが長引くことは、コストの増大や顧客満足度の低下に直結することをお伝えしました。

ACWを改善する方法は、応対履歴の要約自動化など様々ですが、TACTが特におすすめするのはボイスボットの活用です。なぜなら、後処理作業の効率化に留まらず、定型的な問い合わせ自体を自動化することで、ACWが発生するコールそのものを削減できるからです。これは、コールセンターが抱える課題に対する、より根本的でインパクトの大きい解決策と言えます。

私たちTACTは、長年にわたり自社でコールセンターを運営し、その中で培ったノウハウを基に、ボイスボットや生成AIを活用したコールセンターを提供しています。机上の空論ではない、現場を知り尽くした我々だからこそ、貴社の状況や課題に合わせた最適なご提案が可能です。ACWの改善、そしてコールセンター全体の生産性向上にお悩みでしたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

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サービス紹介:AICC

AICC_サービスロゴ

「AIコラボコンタクトセンター(AICC)」は、最新のAI技術と、TACTがこれまで培ってきたコンタクトセンター運営のノウハウを融合させた、AIと人が協力して顧客対応を行う新しいサービスです。

AICCはコールセンター・コンタクトセンターが直面する人件費高騰、人材不足、業務の属人化といった様々な経営課題を解決することができます。「4つのDX(デジタル変革)」を軸に業務を最適化し、速く、正確で、低コストな顧客対応を実現します。

AICC概念図

● コールのDX: 
AIによる電話の自動応答・発信で24時間365日対応を実現します。定型業務の自動化により、オペレーターはより複雑な問い合わせに集中できます。

● ノンボイス・後処理業務のDX: 
通話内容の自動テキスト化や要約により、対応履歴の作成といった後処理業務の時間を大幅に削減(20%~50%削減実績)します。

● 運用のDX: 
AIが問い合わせ内容を分析し、FAQの検索精度向上や新規作成を支援します。これにより、オペレーターの回答品質を平準化します。

● 人材育成のDX:  
AIを相手にしたロールプレイング研修により、研修工数を大幅に削減(管理者工数90%削減実績)し、オペレーターのスキルアップを効率的に促進します。

これらのDXを通じて、コンタクトセンター業務全般の効率化と大幅なコスト削減、そして顧客満足度の向上を同時に実現します。 導入は、お客様の課題分析から始まり、最短2週間で開始可能です。深夜帯や繁忙期のみといった柔軟な運用にも対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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